朝日新聞デジタルの見出し付けは、紙面での作法と異なるのか【note記事配信のお知らせ】

 noteで記事を配信しました。

 最近朝日新聞デジタルを見ていると、本文を読み始めても、見出しの内容がなかなか出てこないということが見受けられるようになりました。そんな、従来の紙面作りの原則論とは異なる見出しの付け方をしている記事がどのくらいあるのかを調べた記事です。

 新聞記事の文体の解説などもあるのでぜひお読みください。有料部分は300円でお読みいただけます。

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豚コレラはなぜ「とんコレラ」なのか

 岐阜で昨年9月に、国内では26年ぶりに発生が確認された家畜伝染病「豚コレラ」はその後他府県にも拡大し、連日報道が続いています。ところで報道で豚コレラは「ぶたコレラ」ではなく「とんコレラ」と読まれていますが、この由来について、2月8日のTBSラジオ荻上チキSession-22」に出演した青木博史・日本獣医生命科学大准教授が解説していました。

  ◇ ◇ ◇

 青木 「ぶたコレラ」とか、あるいは「とんコレラ」とかいろいろ言われる方いますけども、元々豚コレラが確認される前に豚丹毒(とんたんどく)という病気がありまして、養豚業界の中では豚丹毒が耳に馴染んでたというのもありまして、それと合わせて「ぶたコレラ」ではなく「とんコレラ」というふうな言葉が使われたと聞いておりますね。

 荻上 なるほど。ということは最近メディアが「ぶたコレラ」ではなく「とんコレラ」と呼び出したというわけではなくて、(歴史の)長い呼び方なんですね。

 青木 はい、そのとおりです。

  ◇ ◇ ◇

 この放送の音源は、TBSラジオクラウドで聴くことができます(3分35秒ごろから)。

新井浩文さん逮捕、各社の呼称

 各社の報道によると、俳優の新井浩文さんが1日、強制性交容疑で警視庁に逮捕されました。日中の一報段階では概ね「任意で事情聴取」「自宅を家宅捜索」「書類送検へ」という3点で各社一致していましたが、その後夕方に入って「逮捕状請求」(=「逮捕へ」)に進展し、その後逮捕状が執行されたという経緯です。

 著名人の刑事報道の呼称については以前にも本サイトで記事にしてきましたが、今回は半日にわたり事態が進展したため各社の微妙な違いが現れています。

逮捕状請求段階で呼称分かれる

 警察が逮捕状を請求し、近く逮捕する方針が固まった時点での各社の呼称は以下の通りでした。なおテレビ東京は不明、日経新聞は逮捕後の記事しか確認できませんでしたので比較対象から外しています。

  • 「さん」 共同、毎日(共同電)、日テレ、テレ朝
  • 「氏」 時事、TBS、フジ
  • 「容疑者」 NHK、朝日、読売
  • 産経は見出しで「さん」、本文初出で「氏」、本文2度目以降で「容疑者」

 逮捕状を請求した段階で「容疑者」を使ったのが4社。このうち、日中の「家宅捜索・任意聴取、書類送検へ」の段階では、NHKと朝日が「さん」、読売と産経が「氏」でした。

 産経の「さん」と「氏」の表記が揺れているのは解せないのですが(単純ミス?)、本文で初出と2度目以降で書き分ける例はカルロス・ゴーン日産前会長逮捕時にも見られましたので、著名人の逮捕報道における社としての方針の可能性があります。

俳優の新井浩文(40)が自宅で女性に乱暴した疑いが強まったとして、警視庁捜査1課は1日、強制性交容疑で、新井容疑者の逮捕状を請求した。
──俳優の新井浩文さんを逮捕へ 自宅で女性に乱暴疑い - 産経ニュース

日産自動車カルロス・ゴーン代表取締役会長(64)が自身の役員報酬を計約50億円過少に記載した有価証券報告書を提出したとして、東京地検特捜部は19日、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で、ゴーン容疑者と、同社代表取締役のグレゴリー・ケリー容疑者(62)を逮捕した。
──日産カルロス・ゴーン会長逮捕 報酬50億円過少申告の疑い(1/2ページ) - 産経ニュース

 全社とも逮捕後は「容疑者」呼称にしています。

本名併記の有無

 新井さんは韓国籍で、芸名とは別に本名があります。この点、ネット上でヘイトスピーチ的な言説が出ているのは残念ですが、刑事手続を伝える以上、報道において本名や国籍を伝えること自体は通常の判断といえます。その上で、逮捕を受けて本名や国籍の伝え方についても各社に違いがみられました。

 おおむね新聞・通信各社は本名併記が多く、朝日と産経は本名の掲載なし。放送ではテレ朝だけが本名も伝えました。国籍に関してはまちまちで、上記で国籍を書いていない社は記事全体の中でも国籍には触れていません。多くが「青森県生まれ」としています。

関連記事

 著名人の刑事報道における呼称については過去記事でも触れています。ご参考にどうぞ。
charlieinthefog.hatenadiary.com
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ウェブサイト「CharlieInTheFog」閉鎖と記事移転のお知らせ

 ウェブサイトCharlieInTheFogを閉鎖し、掲載していた記事を当サイトに移すことにしました。CharlieInTheFogの管理が面倒くさくなり、はてブロの有り難みを痛感した次第です。記事が行ったり来たりして申し訳ありません。ウェブサイトCharlieInTheFogから移転した記事は、カテゴリーで明示するようにしています。今後とも当サイトをよろしくおねがいします。

きょうも生きています #77

f:id:CharlieInTheFog:20190128230426j:image

 天牛堺書店が破産し、どうやら全店で閉店状態になっているらしい(写真はきょう午後の三国ヶ丘店)。

http://www.itmedia.co.jp/news/spv/1901/28/news107.html

 中小規模の書店が長らく雑誌販売を収益のメインにする構造から変化できず、無尽蔵の大規模化の波に押し負けているのは百も承知だったが、それでも天牛堺書店は古書の目利きが良く、新刊と古書の併売という(堺にずっといる人間は気付かないものだが)珍しい業態で、早い話が「良い本屋さん」だったのだ。

 古書売り場には数日おきに本が入れ替わる均一価格コーナーがあって、100円とか500円の日にもなかなかの掘り起こしものがあったりした。他にも江戸時代のレシピ本とか、難しそうな哲学書とかも並んでいて、まちの本屋さんでは普通は体験できないだろう文化教養の窓としての役割が強かったようにおもう。

 読書家の父や、同じ堺に生まれ育った先輩と、堺の文化環境、特に大規模書店がないことを嘆くことがよくあるが、それでも天牛堺書店の存在はちょっとした誇りであったのも事実だ。他の中小書店とは一線を画していた。

 僕自身も高校時代、堺東店近くの学校に通っていたこともあり、放課後は毎日のように立ち読みしていた時期もある。もちろん参考書を中心に本も多数購入した。ポイントカードは今も持っている。堺東の街並みはこの5年で様変わりし、思い出の地もどんどん消えている。大学に入ってからは通学ルート上の三国ヶ丘店をよく使っていた。

 突然の閉店で、従業員がどれくらい事前に知らされていたのかを疑う向きもあるよう。堺にとってはとても大きな文化的損失である。

 (2019.1.28)