また夢ンなるといけねえ

しがない男子大学生。新聞サークルの記者をしている。堺、六甲、西中島南方が生活の拠点。

Do you remenber?

 Do you remember?

 と言っても9月21日の夜のことではありませぬ。今年6月22日の夜、新聞部の入稿で宿泊を余儀なくされた。後輩が作った紙面案の出来が良いものではなく、編集を立て直す必要に迫られたからだった。

 泊まったのは面の編集に関して責任を持つ3人。もちろん僕も含む。責任者ぞろいの面々で原稿を書き直し、レイアウトを組み直した。編集方針の議論は白熱し(と言っても対立があったわけではなく、3人でアイデアを出しながら一緒に練り上げたという感じ)、尻拭いで泊まったやるせなさと同時に、まさにいま新聞を作っている充実感もあった。 

 正直言えば僕はこの時まで、1人の責任者の態度には疑問も持っていた。本当にやる気あるのかなと。

 部員不足故に不本意な責任者就任を強いられた。僕もそいつも。その経緯を嫌というほど知っているから決して責めはしない。だけど「それにしても、」という思いがなかったわけではなかった。

 でもこの時のスリリングな編集方針の議論を経て、なんだ、良い紙面を作りたい、少なくとも作るべきだということだけは共有できてるじゃん、とすごく安心した。

 

 Do you remenber?

 9月21日の夜なら分かち合ったのは愛だったのだが、これは6月22日の夜。あいにくそんなものはなく、だけど3人は互いに記者・編集者・校閲者としての能力というか信頼は得ることができたはず。

 僕が決して楽しいだけではないこの新聞部に今も籍を置き注力しているのは、部員間の信頼によるところが大きい。

 はっきり言って僕を含む重役陣は、プライドが高くて傷付きやすくてこだわりが強くて、要は他人に気を使わせるとても適役とは言えない人間ばかりである。もちろんかの責任者も漏れなく。

 互いに気を使わせながら、微妙な距離感で腫れ物を触るかのようにコミュニケーションを取っていたのはどう考えても不健全だ。

 だけど、仕事上の信頼がついえることは少なくとも僕はなかった。

 

 Do you remember?

 9月21日の夜のことなら、12月になって求めずにはいれらなくなったあの愛はもう戻ってこない。しかし残念ながらこれは6月22日のこと。愛なんてこの新聞部にそもそも居場所のないものだろう。でもあのスリリングでクリエイティブな編集のやりとりが再び繰り返されることも、もうない。

 12月になって9月21日のワンナイトラブの相手を、本当に好きになってしまったことに気付いた「セプテンバー」(アース・ウインド&ファイアー)の主人公は愚かな男である。そして街で、ラジオで今「セプテンバー」がかかるとき、リアルタイムにこの曲を聴いていた今の中高年にとっては、もう戻ってこない青春時代を重ね合わせるのだろう。これもまた、ある意味愚かなことかもしれない。

 問い掛けても、向こうは覚えちゃいない。でも問い掛けざるを得ない。悲しき人間の性かな。

 今僕は野球の編集に深く関与している。そうならざるを得なくなってしまった。あの6月22日の夜以来、僕も少しはスポーツ紙面の編集を独学した。何とか良い紙面ができあがりそうだ。

 あと2か月経てば僕はこの部を引退する。そうしたら、またDo you remember? と問い掛けることになるだろう。今度は6月22日の夜ではなく、今の苦難をしのごうとしている僕へ。二度とは訪れない、青春時代へ。それではBa De Ya!

アース・ウインド&ファイアー「セプテンバー」
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